―まずは、美容師さんになろうと思ったきっかけを教えてください。
きっかけ…きっかけはなにもないのよ(笑)。きっかけっていうようなものじゃないというか…。
美容学校に行けば、きれいになれるのかなって思ったのよ。そしたらとんでもなくて!
当時の美容学校は互いの髪で練習をするの。
パーマなんかもまだヘタで巻くのも時間がかかるから、最後のカーラーを巻く頃には、巻き始めて1時間とか経っちゃうのね。
―最初に巻いたところと最後に巻いたところが全然ちがっちゃう
そうそう、薬液も安いやつを使っていてね。
まとめてもどうにもならないような頭で、きれいになるどころじゃない、ヒサンだった(笑)
―(笑)でも努力のかいがあって、免許を取られた訳ですね。
せっかく美容学校に行かせてもらったので、免許を取らない訳にはいかなあということで、、青山の方のお店で1年間、インターンで働いたの。ほんとにきっかり1年間、4月1日に入社して、3月31日に退社して。
それで免許を取ったんだけど、結局、免許があってそれですぐ美容師として働けるっていう訳じゃないのね。だから地元(町田)に戻ってちゃんと修行?、経験を積み直そうって。
―きっかり1年間というところにお人柄が現れていますね。で、一人前の美容師さんになられた、と。
カットがちゃんと出来るようになって、それでも最初はあまり仕事を好きではなかったかな。休みも平日で友達とも中々会えないし、肉体労働ですごくきつい仕事だし。
この仕事、あたし好きかもって思えるようになったのは、だいぶ経ってから。
―なるほど。それはどのようなところから好きって思えるようになったんでしょう?
んー、人って、みんな人と関わって生きているでしょう。
若い頃はお客様でも苦手だな、っていう人がいたりしたんだけど、でもそういう人でもね、関われるだけで縁だし、ずっと人と関わっていけるこの仕事が、いいなって。
店に来て頂いて話をして、それだけでもう何かをもらっているようなものなのに、お金までもらえて。
―そう聞くと、すごく良いお仕事ですよね。
あとね、笑顔がいいのよね。どんなお客さんでも、笑顔がすごくいいのよ。笑顔をみると、お客さんにもよかったなあと思えるし、自分もよかったって思える。
-じゃあ逆に、失敗というのはありますか?失敗から学んだ教訓みたいなことがあれば…
失敗を恐れていたら何も出来ないということ!
どんなことも経験しないと、話をするときに自分の言葉として出てこないでしょう。
最近は恋人を作るより友達と遊んでいたほうが楽しいっていう人もいるみたいだけど、楽しいばっかりじゃなくてつらいことも経験しないと!辛い状況で相手に自分の意見を主張するとか、そういうことって経験して初めて身につくことだから。
一度身につくと、同じ状況の人の立場になって考えられるし、人間として豊かになれる。
―はい。そうですね。
人間ってそれぞれのレベルで、それぞれに生きているでしょう。
人と比べるたりせず、自分で経験して成長していくものだと思っているから。
―本当にその通りですね…。でも、周囲の人に惑わされたりしないですか?
惑わされるけどねえ…(考え込む)
-そういうときってどうしますか?
人に相談したりもするけど…、最終的には自分で考えるわよね。自分の考えを信じるしかないっていうか。
―じゃあ、参考にしている映画とか本とかってありますか?
うーん、本も読めばいいんだけど時間無いし、読むと眠くなっちゃうし…(笑)
映画も影響を受けたり、「ああ、なるほどな」って思うことはあるけど、やっぱり最終的には自分で考える。
仕事も、人生の重大な決断も、自分で決めて親には事後報告だった(笑)
―おお!親御さんは何も仰らなかったですか?
5人兄弟の真ん中だったからねえ。
放っておかれてたっていうのもあるかな。
―そういう環境だったから、自立心がお強いのかもしれませんね。じゃあ、ちょっと質問の方向性を変えて…出勤して、まず最初にすることってなんですか。
自分の頭を整えること(笑)これで、頭と身体が仕事モードになるの。
―施術の際に気をつけていることってありますか?
カウンセリングの時、自分の中できちんとイメージを作ること。
お客様からこういうふうにしたいっていう話を聞いて、例えばショートにしても「ここはこうしよう、こうしたい」っていう自分のアイデアを、髪質とかお顔の様子で、きっちりイメージを作ってカットします。
そうするとお客様も「そうそう、こうしたかったの」って言ってくれるのよ。
―ありがとうございます。長くなってきましたので…じゃあ、最後に何かあればどうぞ。
美容室ってたくさんあるでしょう。
町田だけでも、ここにもまた新しくできてる!っていうくらいたくさん。
その中でうちを選んできてくれたっていうだけですごい出会いだし、すごいかかわりだし、それだけでもうありがとう、だから。あなたと会えたことだって縁だしね。
その関わりを、縁を大事にしたいって思ってます。
―ありがとうございました!(感動)